はじめに

✅ツェッテルカステンをつかった自己分析の手法の例を示す

1年前にツェッテルカステンを知り, 熱心に調べた. そして, それをつかって自己分析をしようとした.

日本語のツェッテルカステン解説本(TAKE NOTES!)を読んで考えたこと | Futurismo

わたしの本来の目的は自己省察であり,日々の思考をうまく捕まえて人生観をまとめ上げることにある.わたしのアウトプットはわたしの人生の仕様書作成であり,この執筆活動をするためにZettelkastenを利用したかったのだった.

けっこう時間が経ってしまったが, ようやく自己分析に区切りがついたので, ここで一旦, ツェッテルカステンをつかってどうやったのかのTipsと, またどうだったのかの感想をアウトプットしておく.

✅なぜ生きるのかを分析した自分の例を示す

また, 自己分析によって自分はなぜ生きるのかを明確にしたかった. これについて, 世の中にはたくさんの言い方がある. 検索キーワードとしては,

  • 人生の目的, 人生の意義
  • 大事なこと, 自分の価値, 価値観
  • 自分探し, 本当の自分
  • やりたいことの見つけ方
  • ミッション・ステートメント
  • 価値観マップ

などなど… 様々な言い方があるが, 結局は自分の価値観というTopicだ. 就活や転職などのライフステージで, 意味はあるのかないのかわからないがなんとなく自分について分析した人も多いと思う.

そのときに, 手法については書籍などでまとまっているものの, 具体的な事例について, ネットで自分に近いケースを検索してみたり, 参考になりそうな他人の例を調べたりすることも多いかもしれない. 私もそうだった. なので, この記事では, 自己分析one of themとして, ひとつの自分の例を示そうと思う.

自己分析をすると, ブレない自分ができる, 迷いが消える, 毎日が輝かしい理想郷となる… といううさんくさい意識高い系自己啓発都市伝説は実際のところ, どうなのか? ということ. もちろんこれは1つの例なので, いろんな例を見比べて最終的には自分の視点を持つのがいいと思う.

最後には, 一番書きたいモチベとなったことだが, 自分の生きる意味や目的がわからず, 虚しくうつうつとした日々を送っているアイデンティティクライシスを経験している人に向けて, 同じ苦しみをした自分が自己分析を通じてひとつの思考の終着点を示したいと思って書いた.

📍自己分析の進め方はどうやるか?

自己分析の進め方について, いろんなフレームワークややり方がある. それぞれ微妙に違うものの, 本質的には自分にとって大事な価値を考えることだと思うので, どの方法でアプローチしてもいいと思う.

✅八木仁平さんの自己理解メソッドを分析のベースにする

わたしが参考にしたのは, 八木仁平さんの『やりたいことの見つけ方』の書籍及びYoutubeチャンネル. 1

具体的には,

  • 好きなこと
  • 得意なこと
  • 大事なこと

の3本の柱をテーマにして自己分析をしていく方法. この方法はシンプルだった.

✅GTDフレームワークでカスタマイズする

ただ, 私は昔からGTDのフレームワーク2をずっと活用してタスク管理しているので, その分析結果をもとにGTDにおけるフレームワークにも当てはめて, 別角度から分析した.

📍ツェッテルカステンを自己分析に適用するには?

ツェッテルカステンの用語を定義する

ここからはツェッテルカステンの用語をつかっていく. ツェッテルカステンについて, けっこう用語がバラバラな気がしていて, そもそも自分の使っている用語も正しいのかもわからないので, ここで自分はこういう意味でつかっているというものを定義していく.

一年前の記事も参照. すこし意味合いはUpdateしてるかも.

日本語のツェッテルカステン解説本(TAKE NOTES!)を読んで考えたこと | Futurismo

  • 🌱Permanent Notes
    • ツェッテルカステンのメインメモ. 永久保存版のメモ(名前が微妙だと思う).
    • ツイート3つ程度の分量でひとつのアイデアを記述.
    • 最近のソフトウェアではメモに対してIDが振られていてハイパーリンクでメモ間をつないでいる.
    • タイトルはなくてもいいがある方がベター.
  • 🌳Reference Notes
    • Permanent Notesをトピックごとにまとめるもの.
    • 最近のソフトウェアではタグで代用可能.
  • 💭Fleeting Notes
    • 走り書きメモ. 思ったことをとりあえずメモ.
    • Fleeting Notesを元にPermanent Notesを作成.
    • 私の理解では日誌やJournalや紙のメモなどなど, Inbox的ものは全てここに入ると思う.
    • Literature Notesは書籍情報+自分のアイデアメモという意味でFleeting Notesに含む.
    • ユビキタスキャプチー?(死語). わたしはひとりDiscordにいろいろ書いている.
  • 📁Structure Notes
    • これはアウトプットのためにPermanent Notesを階層化するもの.
    • これが元々のZettelkastenのものなのか, 最近のRoamブームの派生なのかわからない.
    • わたしはアウトプット用にPermanent Notesをリライトするのでつかってない.
  • Zettelkasten:
    • これはSlipboxとも呼ばれる, システム.
    • Permanent NotesとReference Notesを格納するフォルダ.

ツェッテルカステン派生の自分のカスタマイズメモを定義する

一般的なメモに対して, さらに自分はカスタマイズしてメモの種類を増やしている.

すでに気づいているかもしれないが, ツェッテルカステンのメモの種類をさらに自分で細分化して, それに対して絵文字をつけて運用している. ここでは, 自己分析に関わるものをピックアップするが, ほかにもいろんなメモを使っている.

  • 📝Wiki Notes
    • 他者の知識をメモする.
    • これを勉強メモとか技術メモといい, ツェッテルカステンと言っている派閥?もあるが正解は解らない.
    • WikipediaをスクレイピングしたりChatGPTでポンして自動生成できる類のメモ.
  • 📏Principle Notes
    • 科学が明らかにした統計的なエッジをこのメモでとくにWiki Notesとは分けて書く.
    • ライフハック系や心理学系が多いかもしれない.
  • 🖊Journal Notes
    • 日誌. 時系列にいろいろ書く.
    • 自己分析においてはこれがかなり重要なメモ.
    • ここからPermanent Notesを作成することが多かった.
  • 🔴Event Notes
    • 自分の過去の体験を記述したもの. これを束ねて自分史を作成した.
    • 自己分析において最重要メモ.
  • ✨Insight Notes
    • キラッとひらめいた自分のアイデアをメモする.
    • Event Notesに対する後々の解釈を記述. あるEventに対し時間が立つと複数の解釈がある.
    • Permanent NotesとJournal Notesの中間的な存在.
    • Permanent Notesに昇格するかどうかはそのときのさじ加減.
  • 🦊DarkFox Notes
    • 自己に関わる知識. 自己分析のアウトプットにあたるメモ.
    • DarkFoxの由来はDarkHorseの書籍の感動からつけた3

さらに, DarkFox Notesを自己分析のテーマにフォーカスしてさらにさらに分類していく.

  • 🧭Purpose Notes: 人生の目的.
  • 💎Value Notes: 人生の価値観.
  • 💪Strenght Notes: 自分の強み, 才能.
  • 🔥Like Notes: 好きなこと, 情熱.
  • 🚀Dream Notes: 夢
  • ⭐ゴール(GOAL): 目標.
  • 📏マイルール(RULE): 自分の原則.

いろいろと自分でカスタマイズしているが, はじめからこんなことになったわけではなく, 次第に分類されていった. むしろはじめから細部にこだわることはよくないと思う. 手法にこだわるのではなく, 思考することそのものにこだわるべき. これをツールの罠と言っている.

とりあえず, ようやく準備完了!

情報を学ぶ

自己分析の知識を整理する. これはWiki Notesにまとめていく.

わたしはツェッテルカステンが学習メモや勉強メモのように扱われている現状が正解とは思っていない. そういう個人Wikipediaではなく, ツェッテルカステンはの永久保存版のツイッターシステムのようなものをイメージしている.

ただし, 仮に勉強メモが本来のツェッテルカステンでないとしても, 個人Wikipediaはそれはそれでとても重要となる. これについて過去に記事を書いた. または, そもそも本来のWikiとはベストプラクティスでありノウハウ集, Tipsであり, Wikipediaのような百科事典がずれているのかもしれないのであまり意味に拘らないほうがいいのかも.

🖊知的生産のキラーアプリOrg-roamを1年使い倒し学ぶとはなにか考えたポエム(2022) | Futurismo

そしてわたしは, そのようなPermanent NotesとWiki Notesで自分と他人の意見を厳密に分離しつつも, 同じメモシステムのなかにぶち込んで互いにリンクさせつつ, シントピックリーディングのような化学反応を期待している.

自己分析の用語を学ぶ

まず, 自己分析をするときに戸惑うのは, 用語の定義がよくわからないところ. わたしは八木さんのYoutubeチャンネルをかなり参考にした.

自己分析で考えるべき3項目とは?始める前に見ないと時間の無駄 - YouTube

自己分析をはじめると, いろいろググりながらそれっぽい参考情報をインプットしつつ進めるのだが, とにかく用語がバラバラなことに戸惑う. 自分の決めたフレームワークとその用語を軸にしてまず, 価値観とは, 目的とは, スキルとは, 才能とは… などなど. まず用語をおさえるのが効率がいいと感じた.

自己分析に関する心理学を補助として学ぶ

自己分析に関する心理学を補助として適宜学んでいく. しかし, これは罠である. 本来やりたいことは自己分析であるが, 知識をインプットすること自体が面白いと, インプットだけで日が暮れる. なので, これは補助的にして後回しにしたほうがいい.

しかし, そうはいっても, 知るべきだったという心理学の研究はいくつかあり, 適宜Updateする必要は感じた.

たとえば, わたしが過去記事にしたImmunity to Changeという概念. 大事な価値観が複数ある結果, 価値観同士がぶつかり合ってしまう. この卵が先か鶏が先か問題は, 個人的には価値観分析において地雷的な危険性があると思う.

[edX] ライフハックでは人間は変われない!Unlocking the Immunity to Change で早寝早起きに挑戦した | Futurismo

たとえば, そもそも幸福とはどういう概念なのか?

🖊資本主義的幸福の神話の崩壊と超人について - coursera: The Scinece of Well-Beingの感想 | Futurismo

たとえば, Follow your passionが間違っているという話. 好きなことを追うことの危険性.

しかし, 情熱を追うことが正しいのか間違っているか, いろいろな知識がUpdateされていくと矛盾が生じてよくわからなくなってしまう. なんか集める情報同士の主張が矛盾し始めるのだ. その意味でも, まずは自己分析をして軸をいったん完成させてから, 細部の分析を心理学の結果をもとに調整することがいいと思う.

また, この矛盾を客観的に捉えるという点で, Wiki Notesは有用だ. 異なるソースから情報を収集し, 同じまな板の上で概念を吟味するアプローチ.

情報を収集する

情報をテーマに沿って書き出していく作業. 好きなこと, 得意なこと, 大事なことについてのアイデアを集めていく.

ここではアイデアをFleeting Notesや日記に書き溜めていく. または, テーマに沿って作成した質問に対する解答メモなど. けっこう雑多にいろいろ雑に書く.


アイデアとは, どうでもいいときや散歩しているときに突然やってくる. それはデフォルトモードネットワークの活性化という単語でよく知られているのでここでは深く解説しないが重要さだけ強調する.

自己分析とは, どうでもいいぼーっとした時間と突如湧いたアイデアを素早くキャプチャすることがとても大事だ. わたしはDiscordのひとりチャットにいろいろ書き込んで, その内容をJournal Notesに書き起こし, さらにそれを抽象化してInsights NotesやPermanent Notesを作成した.

自己分析インサイトをツェッテルカステンでシステマチックに量産して構造化するとは, このようなことをいう.

自分史を作成する

自分の年表を作成する. 自己分析においてとても重要な役割を果たした. これが情報を整理する上での大事な幹となる.

ツェッテルカステンにおいて, 幹となるメモはとても重要だ. なぜならば, メモ同士が相互リンク可能な結果, 情報がぐちゃぐちゃになりやすい. Event Notesに対するStructure Notesかもしれない. 一直線の階層構造が大事だ.

ここのポイントは, 出来事を書いて解釈は別のメモにまとめること. はじめは出来事も解釈も同じように記録していたが, だんだんひとつの出来事に対して複数の解釈が生まれて分けた.

ここの面白いところは, ひとつの出来事は解釈によって複数の意味をもつ, 良い面もあれば悪い面もある. 弱みは強みに代わり, その逆もあり得る.

トリガー質問に解答していく

アイデア出しについて, 机に向かってトリガー質問に対する回答をメモにアウトプットしていく. ある程度やるとちょっと疲れてしばらく放置して, また取り組んで… みたいな反復作業を数ヶ月のサイクルでやった.

ツェッテルカステンついてはいきなりPermanent Notesにすることはあまりなく, 日誌的なところにいろいろと箇条書きにすることが多かった.

心理テストを受けてみる

有名な心理テストはとりあえず受けたほうがいい. たいていオンラインで無料で回答できる.

  • ビッグファイブ分析
  • ストレングスファインダー(有料)
  • VIA強みテスト
  • PERMA Profiler

時間もかからないわりには得られるインサイトは多く, 効率性という点でよい.

他にも就活自己分析系書籍や検索でみつかる有象無象の記事も, スパイスとして受けることはよい. ただ, 心理学的背景がないものは有名なやつよりもインサイトは少ないかも.

これらの心理テストによる回答は, ツェッテルカステン的にはLiterature Notesに分類されるのだろうか? わたしはDarkFox Notesというメモを新規作成して, その小見出しとしてのInsights Notesをひたすら作成していった.

また, 心理テストを受けて数日間の間, 突如質問に対するインサイトが空から振ってくることがたくさんある. これは, 自己分析においてとても大事なことなので力説したい.

情報を分類して抽象化する

情報を収集する段階でいろんなメモが作成されたので, それらをグルーピングしていく.

自己分析で戸惑うのは, 好きなことと得意なことと大事なことがけっこう混じり合うので, うまくはじめから分類しようすると, だんだん混乱してくることがとてもあった. はじめは雑な書き出しでいい. タグをつけつつ, グルーピングする抽象概念としての言葉を洗練させていく.

けっこう雑にメモをアウトプットしてJournal NoteやらInsight Noteやら書き散らしてきた. それらでとくに自分が重要だと考えたり, いろんなメモとリンクするようなものをPermanet Noteとして抽出してちゃんとリライトしていく. 全部をPermanent Noteとして完成させようとするとけっこう大変. 走り書きメモは走り書きで雑なこと価値がある. 文献メモであるLiterature Noteにしても同様.

好きなこと

好きなことは分野, トピックであり, Wikipediaのタイトルになような単文で表現される.

好きなことの抽象をPermanent Noteにまとめる

好きなことはけっこう膨大にある. この場合, 一般的なWikipeida的な知識と個別の想いはWiki NoteとReference Note(Permanent Notesのリスト化したもの)でわけてメモを作成する方針としている.

しかしこのときの課題が, けっこういちいち好きなトピックに対してWiki NoteとReference Note 作成しているとメモの作成だけでけっこう煩雑になり, さらにそれらのタグ付けが面倒になる.

わたしはツェッテルカステンのツールとしてEmacs Org-modeというだれも使わないような特殊なアウトライナーをつかっており, これは本質的にはアウトライナーなので, 好きなことを列挙してさらにそれを好きなことの大きなジャンルで分類していった. そして, 個別の好きなことのTopicについてのメモをつける代わりに, 好きなことの抽象化したものをLike Noteという形で作成した.

落語という好きなことの具体例

例えば私の場合, 落語を例として説明していく.

Permanet Note: 🌱落語が好きなのは笑いを通じてうつを克服できるから.

ヴィクトール・フランクルの🌱ユーモアへの意志で虚無に立ち向かうと決意して, 落語研究会に入った.

大学生のころからもう10年以上経った今でも最近受けた🦊VIA-IS強みテスト診断結果ではユーモアが強みの第3位に来たのはある意味すごい. これは🔖ユーモアへの意志が価値観と強みに影響を与えたに違いない.

すなわち, 落語は好きだが, その背後にはユーモアという才能があり, うつや虚無を克服するという価値観がある.

最近, 💡笑いの役割は不安や恐怖を和らげメタ認知させることという脳科学研究の結果を知り, ますますそれは確信に変わる. 笑いとうつは表裏一体. どちらも扁桃体というセンサーで感知する.

ネガティブだからこそ, 寒さとひもじさという暗さを笑いに変えるような落語的世界観に惹かれる.

Like Note: 🔥うつを克服することに役立つことが好き

ということになる. ここで気づくことは, 結構この導出パターンで,

  • (得意なこと)に役立つことが好き
  • (大事なこと)に役立つことが好き

という形式の🔥Like Noteが抽出できることに気づく. すると, そこから得意なことや大事なことについての💪Strength Noteや💎Value Note, 🧭Purpose Noteが導出できる.

  • 🧭心の平穏を最優先する(目的)
  • 💎平穏(価値観)
  • 💪ユーモア

いったんここで視点をひいてみるとどうだろう, メモから次のメモ, 次のメモ… というように, ひとつのトピックが別のメモを導き, 連鎖的にメモが出来上がっていく. そしてそれらはひとつのロジックできれいにつながっていく.

  • Reference Note: 🌳落語
  • Permanent Note: 🌱落語が好きなのは笑いを通じてうつを克服できるから.
  • Like Note: 🔥うつを克服することに役立つことが好き
  • Strength Note: 💪ユーモア
  • Value Note: 💎平穏
  • Purpose Note: 🧭心の平穏を最優先する

ここはツェッテルカステンで自己分析をするときの感動ポイント. このような縦糸をたくさん紡いでいく. 糸と糸は多様に絡み合い, ひとつの体系としての自己というアイデンティティが見えてくる, 感動的だ!

得意なこと

次に得意なことについて. まず, ここではVIA強みテストだったりストレングスファインダーであぶり出した単語を軸に考えていくのがいい. というのもはじめに借り物の単語を利用して思考したほうが, 一から考えるよりも簡単だ.

分類よりも分解から出発する

一般的には, 自分で分類によって単語を導出するよりも, 心理テストから分解したキーワードに対して個々のPermanent Noteをタグでグルーピングしていくほうが簡単. ここでいう分解とは, 既存の型やフレームワークを元にトップダウンで分析し, 分類は類似の性質を比較することで概念をボトムアップに抽出するという意味で使っている. そして, トップダウンのキーワードでグルーピングしたほうがボトムアップよりも簡単, という主張.

VIA強みテストにしてもストレングスファインダーにしても, その単語に対してけっこうしっかりとした説明がついているところがよい. その単語をタグにしてPermanent Noteを紡いでいく.

収集心という得意なことの具体例

ストレングスファインダーから収集心という得意なことがわかった. これを軸に分析をする. まずストレングスファインダーのよいところは, けっこう詳細な解説があり, それをさらにわかり易く解説するブログ記事も多い.

あなたは知りたがり屋です。あなたは物を収集します。あなたが収集するのは情報――言葉、事実、書籍、引用文――かもしれません。

それは必ずしもあなたの理論に磨きをかけるためではなく、むしろあなたの蓄積された情報を充実させるためです。

保管する時点では、何時または何故あなたがそれらを必要とするかを正確に言うのは難しい場合が多いでしょう。でも、それがいつか役に立つようになるかどうか誰が知っているというのでしょう。あらゆる利用の可能性を考えているあなたは、モノを捨てることに不安を感じます。ですから、あなたは物や情報を手に入れ、集め、整理して保管し続けます。それが面白いのです。

すぐに気づくことは, 得意なことが熱中できることでそれが好きなことだったり, 得意だからこそ自分らしさを感じて大事なことだったりする. このような関係は非常に多い.

  • 好きなこと: ツェッテルカステン(笑)
  • Like Note: 🔥とりあえず集めまくることが好き
  • Value Note: 💎好奇心
  • Purpose Note: 🧭博覧強記なガリ勉モンスターになる

わたしはこの分析で, ミニマリズムがちょっと自分には合わない思想だったことに気づいた. これは自己分析において貴重な発見で, 嬉しくなる. そこから, ミニマリズムの特に何に惹かれたかということを考えてみると, ミニマリストしぶさんが 少数精鋭 という言葉で表現した感覚が好きだった. そして, それらをズバリ一言で言えば, ダンディズムということになる. ぼくのかんがえた最強のXが好きなのだ.

  • Permanent Note:
    • 🌱収集心が才能のわたしにはミニマリズムは無理がある
    • 🌱ミニマリズムからダンディズムへ

これはPermanent NoteからPermanent Noteを紡ぎ出した例. ダンディズムという単語は, そこそこマイナーな価値であり, 一般的な価値観リストには載ってない. しかしむかし自分は落合正勝さんの書籍を通じて, この単語を深く調べた個人的な経験を思い出した.

大事なことや得意なことを考える時, 一般的な概念から出発するものの, よりベターなのは個人的体験に基づいた自分らしい言葉で定義することだと思う.

大事なこと

大事なことは一番大事だ. というのも, 結局は情熱, 強み, 目的, 使命… 全てのメモは価値観につながっているから.

好きなことはたくさんあった, 得意なことも10個くらいはあった. しかし大事なことは少数精鋭にするべきだと思う. 大事でないことと大事なことを分ける必要がある.

大事なことは死の恐怖体験由来と成功体験由来がある

大事なことも出発点としては既存のフレームワークに乗っかって分析するのが取っ掛かりは簡単. そして好きなことや得意なことで導いた自分のメモも合わせて収集する.

すると, 大事なことはトラウマレベルの死の恐怖が由来するものと, ポジティブな成功体験由来のものがあることに気づく. 成功体験についてはけっこうわかりやすく, 得意なことや好きなこととつながっているので簡単に導ける.

失敗体験に基づくものは, 過去の嫌な出来事や弱点から導くことができる. ここがちょっと見えにくいところかもしれない. ここで自分史が役に立つ. 過去のつらい出来事に向き合うことはたいへんであるが, 価値観を導くにおいてこの失敗体験に向き合うことが最も自分というものを理解することに貢献する. 自己分析を通じて, 自分という人間の歩んできた道, そして今この瞬間の自分のあり方を意識し, 人生の意義を感じる発見がある. ここは, 自己分析におけるハイライトだと思う.

わたしはかなり長い間, 抑うつ状態に悩んできた. そのことについて, 過去の出来事をひとつずつEvent Noteにおこし, それに対する解釈をPermanent Noteに紡いでいった. すると, うつであることこそ, わたしらしいと思うようになり, 自己肯定感が高まった. そしてそこから, 私最強の強みである審美眼ということを導き出し, わたしは審美の能力を鍛えることを人生のライフワークに据えた.

価値観の矛盾に気をつける

さらに大事なことは大事であるゆえに, 価値観がぶつかり合うということがよくある. 成長の価値と平穏の価値はしょっちゅうぶつかり合い, アクセルブレーキ全開みたいなシチュエーションが往々にして発生する. あまり日本語で検索してもでてこないのだが, ゴールコンフリクトだったり, 免疫マップという単語で見つかる概念.

この対策として, 価値観同士の優先順をつけ, さらに念をいれるならば, 想定できるシチュエーションに対して1つずつ丁寧にPermanent Noteを作成して, if-thenルールまでやればよい. 価値観同士のぶつかり合いは直感的に気づかないがそれに気づかないことは地雷的にキケンだ. こういうナイーブな部分対して1つずつ思考のメモを作成してていねいに抽象構造への考察を加えていくのはツェッテルカステンは得意だと思う. 1つずつていねいに考えていく.

クリティカルという価値観の具体例

クリティカルという価値について考えてみる. これはボトムアップで導いた. わたしは大学生のときはクラシック音楽の批評家になりたかった. 影響をうけた思想は2つある.

  • ロジックで分解する - 立川談志
  • いちばんのキモをえぐり出し余計なものを剥ぎ取って提示する - 許光俊

好きなこと, とくにこれらは強烈に惹きつけられる. なぜだろう, それは論点思考と呼ばれるようなロジカルシンキングかもしれない. しかし, どちらかというと反逆や毒舌を伴うものであり, ちょっとロジカルの価値とは違う.

ということで, クリティカルの価値を導いた. これは数年後は変わるかもしれない.

  • Value Note: 💎クリティカル
  • Purpose Note: 🧭ロジックで分解してキモをえぐり出す
  • Strenght Note: 💪戦略性
  • Like Note: 🔥ロジカルにキモをえぐり取る合理主義に興奮する
  • 好きなこと: クラシック音楽批評

人生の目的について

ここまでで, 好きなこと, 得意なこと, 大事なことについてのたくさんのメモができた. アイデンティティとは, このような思考の集合体だと思う. これらを元に, なんのために生きるかという問題にケリをつけていきたい.

なんのために生きるのか?

人生の目的は, よくコンパスに喩えられる. 方向性を示す指針, という意味. しばしば, 他者や社会に向いたものを使命やミッションといい, 自己に向いたものを目的という.

また, 目的や価値観を考えるときの思考実験として, もし明日死ぬとしたら, 今日をどう生きるかという問いが価値観や目的を鮮明にする. ありたい姿とは, 価値にフォーカスして生きるとは, 今日を過去最高の自分の1日にするということ. たとえ明日, 交通事故で車に轢かれて死ぬとしても.

しかし, 個人的に思うのは, これらは価値観の言い換え表現のような気がする. というのもPurpose NoteをValue Noteから作成しようとしたとき, なんかリンクしている内容が同じようなメモ同士になってしまった. 本質的には目的も価値も, 見え方の問題なのかもしれない.

自分の中の結論としては, 価値観とは単語で表現して, 人生の目的はスローガン的なとてもかっこいい自分らしいキャッチフレーズで表現することにした. 価値観はとりあえず6つに絞った. ここは多すぎるとよくないので切り捨てたものもあるし, 価値観はトラウマによって形成されるので今後も死の恐怖で変わるだろう. また老いることによって性格も変わるだろう.

  • 平穏: 🧭心の平穏を最優先する
  • 実存: 🧭克己凌雲の勇者つーねらの大冒険
  • 感動: 🧭味わいと集中による感動の快楽を追及する
  • ガリ勉: 🧭博覧強記なガリ勉モンスターになる
  • ハッカー: 🧭焦りよりもワクワクを基軸に生きる
  • クリティカル: 🧭ロジックで分解しキモをえぐり出す

そして, これらをさらに一行でまとめると, ズバリわたしの人生の目的とは,

ワクワク感動伝説 - 勇者つーねらの大冒険

素晴らしい. ツェッテルカステンを元に検討検討を重ね, ついに人生の目的が導き出された. ニーチェは「なぜ生きるかを知っている者はどのように生きることにも耐える」といったが, 果たしてナチス強制収容所にブチ込まれたときにこの目的はわたしを救ってくれるのか心配である.

しかし, この結論はいろんな可能性を元に論理的にまた消去法で導き出したものであり, あまり外れではないだろうという満足感はある. おじいさんになったときにちょっと恥ずかしい.

なぜ生きるのか?

なんのために生きるのかは目的で, なぜ生きるのかは価値観. そして目的と価値観は言い換え表現. 使命についても同様.

人生に意味はあるのか?

ない. 人生の意味とは, 過去に対してのひとつの解釈に過ぎない.

このことは自分史を作成して, Event Noteに対するPermanent Noteを作成する過程で思った.

人生の壮大な野望について

夢とは達成可能な期限付きの目標

まず, ここでいう夢という用語を定義する. 夢とは達成可能な人生を賭けて達成するべき目標とする. 夢は野望といってもいいかもしれない.

GTD的にはVisionを大きな達成目標, それに対して数年で達成できるものをGoalとしている. よく自分探しのアプローチでやりたいことを書き出しましょうというものはたいていゴールレベルの, やろうと思えば数年で達成できるが, なかには人生をかけて長期間取り組むようなものもある. これは粒度の問題だ.

ヤりたいこと100

やりたいことを軸に自己分析をして, その理由を考えることから価値観に迫るのもいいかもしれない. それはひとつの方法論で, わたしはそのパスを通らなかったが, やりたいことリストは思いつくものはたくさんリストアップした.

ただ, やりたいこと100をリストアップしていくと70個目からだんたん思いつかなくなり, そして100個のやりたいことが完成したとき, 30個くらいが様々なアダルトジャンルを網羅するようなエチエチヘンタイプレーのヤりたいことになって絶望したのでこの方法はよくないと思った.

世間の夢という洗脳について

そもそも夢についての世の中の風潮について違和感を感じるのは, 自分の身の丈にあわない大きなモノを前提していること. 代表的な例は, 孫正義のたまわく「志高く」. 子供のときはできるだけ壮大なスケールで夢を描き周囲を巻き込み社会を変えろという風潮があり, それがだんだん大人になると社会の歯車にとなり, 子供の時の夢は諦め, 死んだ目をして毎日を生きている.

しかし, 夢にしろゴールにしろやりたいことにしろ, これの抽象構造は, 期限付きの達成可能な目標であり, そのパラメータが違うだけではないか? さらに大事なことは, 人間のモチベーションは, 達成できるかはわからないが難しすぎない最適な難易度のときに最もやる気が出るという特性がある.

すると, 素晴らしい夢とは, 自分自身が絶妙な達成可能な難易度設定をすることによってエキサイティングになるはずで, 他人の見た目よりもそれは優先することのように思えた.

わたしの人生の夢とは

わたしの人生の夢とはズバリ,

自分の力で生活費を稼ぐこと

と定義した. これは, 世間の大きくて偉大な夢に対するアイロニーも含んでいる. わたしはあまりにもなにもできない無力な人間だ. 想像以上に, いろいろとやることはうまくいかない. 副業で本業とは別にお金が稼げちゃう人は羨ましいが, わたしはアフィリエイトに2年くらい取り組んでも利益は生活費に届かない.

すると, この自分の力で生活費を稼ぐという人生のテーマは, 私にとっては絶妙な難易度の人生の課題なのかもしれない. 取組みテーマとして, 他人と自分を比較しても仕方がない. わたしにはわたしの難易度がある. 用意された席のなにものになるのではなく, 目の前の難易度に対して, 人生の全てをかけて取り組む. 2年かけても箸にも棒にもかからないからこそ, 面白い. 10年20年かけても, それは達成できないかもしれない. この日本という社会の中で, 今までの全てをかけて, 知恵と勇気を駆使して, 生活費を稼いで生存することそのものに立ち向かう.

また, どうも自分には, 明日死んでしまうかもしれないという病的な脅迫観念がある. それは, 道路を歩いたり自転車に載っていると, キケンな運転をするとドライバーがとても多いからだ. もちろんその強迫観念は病的であるものの, それを否定できないほどに危ない運転をする人が多いのもなんとかならないだろうか.

しかし, だからこそ, 明日は死ぬかもしれないという危機感が, 今日を精一杯生きて過去最高の自分の生活にしようという意欲が湧いてくる. 価値にフォーカスして毎日を生きようと思う. 自分にも他人にも誠実に, 死ぬときに後悔がないように生きようと思う. やりたいことということを列挙して未来を考えるということが, どうも実感が湧かない. そもそも明日死ぬかもしれないのだから.

人生の夢をゲームのステージのように考える

わたしは自己分析をするうちに, 人生をゲームのように捉えるのがいいと考え始めた. これをゲームフルネスといい, わたしの大切な価値観と据えた. それが, 勇者つーねらの大冒険に込めた想いだ.

ゲームの目的とは, 自分の力で生活費を稼ぐことである. そして, 生活費を稼ぐというラスボスを倒し, ついに世界に平和が訪れた. そしたら勇者はどうなってしまうのか? スポーツで金メダルを取ったら燃え尽き症候群になってしまうように, わたしは生活費を稼ぐことができたら燃え尽きるのだろうか?

おそらく, 勇者は次なる冒険に旅立つ. 生活費を稼ぐという究極の夢は, それが人生最後かもしれないし, さらに別の夢があるのかもしれない. しかし, ひとつひとつ取り組もう. やりたいことは無限にある. 100個に絞れといわれても困る. やりたいのにそのことができないことは自分にとってはストレスだ. わたしは日本ではない自分の国家を建国したり, 宇宙に行ったり, 酒池肉林にまみれたり, 仏教を超える宗教を作ってみたいという夢がある. しかし, それは一つ一つ夢を叶えた先にある. 叶わない夢かもしれないがそれを考えると苦しくなるのであまり考えないようにする.

夢というのをゲームにおける, あるステージのように捉える. ステージにはボスがいる. ボスを倒すと次なる物語が始まる. ワンピースで言えばひとつの島の物語. 今はこのステージのクリアを目指す.

選択肢は多すぎないほうがわたしにはちょうどよいし, 限定されたルールと最適な難易度で人生は楽しくなる. 他人のドラクエと自分のドラクエを比較しない.

マイルールとプラクティス

価値を日々の生活に落とし込むための方法について. これには原則とプラクティスという考えを取り入れた. プラクティスとは, 価値を日々の生活のなかで実行するためのよい習慣といいかえていい.

マイルールにしろ, プラクティスにしろ, これも他者のルールと自分のルール, 他者の習慣と自分の習慣を区別空く. 他者のルールやプラクティスは, 科学的な効果が確認されているかもしれないが, その科学的というものは統計的にこういうエッジがあるというものであるが, それが自分に当てはまるかどうかは実験してみないとわからない.

マイルール

ルールとは自分の外から自分を縛るものだ. 自分で自分のマイルールを決める. これはもしこうなったらこうするということを事前に決めておくことによってその行動を取りやすくなるという人間の性質を活用する. それはif-thenルールと呼ばれたり条件プログラミングと呼ばれたりする.

マイルールは価値観を日々の行動に落とし込むための実践的な方法だ. ツェッテルカステンでは, とくにRule Notesとしていろいろと自分の規律を書き出していった.

たとえば, 掃除の価値観. これは, 気分がネガティブになると, 真っ先に乱雑になるのがキッチン周りであり, 従って良くも悪くもキッチンの美しさがメンタルの先行指標になることを発見した. なので, キッチンの掃除を通じてメンタルを整えるというルール.

  • Rule Notes: 📏キッチンの美しさを死守する.
  • Value Notes: 💎平穏
  • Purpose Notes: 🧭心の平穏を再優先する.

Rule Notesは, if-then形式で記述するのがよい. ただ, これはまだ運用歴が浅いのでノウハウは溜まっていない. ルールはあまり多くないほうがシンプルでいいのかもしれない.

プラクティス

よい習慣について. 自分の独自の最強習慣を集めていく. そして, その習慣が自分にとってどうであるかはJournal Notesだったり, 重要度に応じてPermanent Noteに吐き出していく. わたしはけっこう筋トレや瞑想についてのPermanent Notesが溜まっている.

以下, わたしのベストプラクティス例.

  • 冷水シャワー
  • 筋トレ
  • 座禅
  • コーヒー瞑想
  • シュークリーム瞑想
  • GTD週次レビュー
  • Ankify
  • リアプレイザル

Ankifyのプラクティスの具体例

AnkifyとはAnkiを使って暗記をする習慣. 大人になってもAnkiカードをつかうことはわたしらしい. これを日々の生活で毎日実践することで, 毎日わたしらしさを強化していく.

  • Permanent Note: 🌱大人になってもAnkiで暗記カードを作り続けることはわたしらしい
  • Practice Notes: Ankify
  • Strength Notes: 💪学習欲
  • Value Notes: 💎ガリ勉
  • Purpose Notes: 🧭博覧強記なガリ勉モンスターになる

おわりに

最後に, 自己分析を終えた感想を残す. アイデンティティクライシスを経験している青年へ, またはこじらせてるおっさんへのアドバイス.

就活時の自己分析と半分は同じで半分は違う

まず驚くことは, 就活時の時の自己分析と今の自己分析は半分くらいは違う, ということ. あれから10年が経っている. しかし一方で, 半分くらいは全く変わっていないことにも驚く. 変わらない部分とは遺伝的なものだと思うし, 変わるものは体験から生じる性格の変化や価値観の変化だと思う.

すると, 就活のときに自己分析をすることについて, そういうのは3日とか1週間程度でさくっと終わらせたほうがいいかもしれない. なぜならば, それは移りゆくものだからだ. しかし一方で, 自己分析というものは1ヶ月に一度Updateするべきものかもしれない. なぜならば, それは自己をというものを理解するには時間がかかる. 自己の発見は机に向かっているときではなく, ふとした瞬間が多く, それらをかき集めて蒸留させる時間も必要だ.

また, そもそも今回, かなり自分の神経症傾向に向き合った. 果たして, うつであることを分析した結果, それが就活で役に立つのか少し疑問はある. また審美眼や収集性は生産性や効率主義とは矛盾するのでどうやって折り合いをつけるかか. 役に立たないことが価値がある. 仕事で役に立つことと自分らしさが共存できれば理想だが, 理想は難しい.

価値観はブレるものであり移ろいゆくもの

ツェッテルカステンによって自己分析をして得た収穫とは, 今の自己イメージと過去は違うし未来も違うだろうという, 自己は移り変わるものであり絶対的な価値観などないという発見だった.

そうすると, ブレない軸というのはそうであったらいいなという幻想であり, ブレない軸がほしければわたしの商品を買ってくださいということかもれない. またある人はぶれない軸が手に入ったが, わたしには手に入らなかったということかもしれない.

感覚として掴んだのは, 老化によって性格は変わり, 過去の出来事によって好きなことも価値観も移り変わる. そしてそれは数ヶ月単位で数パーセントずつずれていく. 就活時の自己分析と半分は同じで半分は違う, 乖離率は50%.

そして, 目の前に書き散らしたメモの総体が自己のアイデンティティであり, それらはひとつずつ思考のピースによって構成され, たがいにつながりあい, ひとつのまとまりを作っている, ということをツェッテルカステンを通じて感じた. だいたいPermanent Noteは雑なものも多く, 矛盾してたりリンク先が間違っていることもある. そういう雑な仕組みもたぶん自己認識だ. 完璧を求めることはそもそも難しい.

行動による経験の獲得によって自己の価値感をUpdateしていく

毎月数パーセントのブレを生じさせるトリガーはなにか?

それはEvent Noteの獲得と, 過去のEvent Notesのリストに対する新規Insight Notesの作成だ. このことを言い換えると, 行動して経験を手に入れ, その経験を自分の過去の他の経験とあわせて相対的に解釈することによって, あたらしい自己発見を得る, ということになる. いわゆる考えるよりも行動せよということだ. しかし, 考えることと行動することは両輪の関係にあり, 交互に行うことによってともに自己認識を深めていく. そんなことは当たり前だというのはそうだが, ここではメモの作成という具体的な作業という角度からも, それを確認できたということ.

また, 嬉しい知らせとしては, 価値があるのは成功経験よりも失敗経験だ. ネガティブなEvent NoteからのInsightはポジティブなそれよりも大きい. 失敗から何を学ぶのかとは, 何個Insight Noteを作成するかというフィジカルで目に見える作業となる.

自己分析でブレない自分が手に入らないがもうこれでいいという達観した心になった

自己分析でブレない軸を手に入れたい人生だった. 実際のところ, そういうイキイキと笑顔で生きられたらそれは素晴らしいが現実は厳しい.

しかし, 自己分析にはけっこう時間を投入した結果, 様々な角度からいろいろ考え方結果, 苦労の経験を得た. 消去法的にもうこの程度だろうなという, なんとなくまあここまで考えたら十分だろうという, 諦めに似た達観がある.

みんながみんな自己分析は必要ない

ツェッテルカステンとは大学生のときにYahoo geocitiesに構築していたHTMLとpタグとaタグのみで作成された日記のようなサイトをリバイバルしたものだった. ここでわかるのは, わたしは大学生のころからこういう何故生きるのかということ図書館の隅のほうで本を読んでいるような青年であり, それは今になってもその好みは変わらない. 実存について考えることが好きだ. 逆にいえば, 何故生きるのかがわからないならば, どうしてヘラヘラと毎日を楽しく生きることができるのだろうか, とおもう人間だ.

しかし, 快楽と意義は2つの相反する概念であり, どちらをどのくらい優先するのかは, そもそも生まれ持って遺伝で決まっていることかもしれない. わたしは意義を好むが刹那的快楽を好むひとも同じくらいいるだろうし, それはもはやなにも悪いことではない.

そして意義をあまり重視しない人には, そもそも自己分析は必要ない気もする. 就活もノリでいいのでないか? 人生に理由なんていらないし, 目的もいらないだろう. みんながみんな自己分析は必要ない.

アイデンティティクライシスを経験している青年へのアドバイス

長い自分探しの旅だったかもしれない. そもそも大学1年生のころからずっとこういうテーマについて考えていたので, 15年を超えるようなものだった. そして導かれたものは, あまり熟考するようなものではなかったかもしれない. ワクワク大冒険www

しかし, わたしはけっこうなぜ生きるのかを考えることは, 過去ずっと苦しかった. わたしはアイデンティティクライシスを経験している, 自分のように思い悩んでいる二十歳前後の青年に対してこの文章を書いた. こういう結論をひとつの例として, そしてあなたはどう考えるのかということだ. わたしは特定の方向に導こうというよりは, いろんな例のうちのひとつを示して考え方を刺激することで, メタ認知を促すことに成功すればいい. それが順方向であろうが逆方向であろうが.

そして, 仮に読者が自分と同じように神経症傾向が強い性格ならば, 強くおすすめしたいプラクティスは瞑想だ. 瞑想に馴染みのなくピンとこないならば, 瞑想を筋トレのように考えるのがいい. これは脳に血流を流し込み鍛え上げるたぐいのものだ. そして筋肉がつけばより重いものを持ち上げ, バランスを取れるように, 脳を鍛えれば感情を操る力を得て, 物事を偏見なしにみるメタ認知の力も得られる. 筋肉がないのに冷蔵庫を持ち上げることがつらいように, もはや生きることがつらいことは筋肉のような問題かもしれなく, 従ってスキル習得で生きやすくなることもできる. 脳を鍛えつつ, 時間をかけて自己分析に取り組むことをおすすめする.


  1. 八木仁平(2019) 世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド ↩︎

  2. David Allen(2010) ひとつ上のGTD ストレスフリーの整理術 実践編――仕事というゲームと人生というビジネスに勝利する方法 ↩︎

  3. Todd, Rose(2021) Dark Horse(ダークホース) 「好きなことだけで生きる人」が成功する時代 ↩︎