Courseraの人気講座The Science of Well-Begingを受講

不幸なのでCourseraの人気講座, The Science of Well-Beingを受講した.

https://jp.coursera.org/learn/the-science-of-well-being/

イェール大学で人気の幸福論についての講義. 2018年に登場したが, とくに最近のコロナ騒ぎもあり一番人気だそうだ.

心理学教授のローリー・サントスさんが先生(かわいい). ここでいう科学とは心理学であり, さらにいえばポジティブ心理学.

動画のサンプルはYoutubeのプレイリストにまとめられているようだ.

The Science of Well Being with Laurie Santos by Yale University - YouTube

全12週の講義だが, 8週までがレクチャーで残りの4週が実践.

講義内容まとめ

幸せとは, 遺伝が5割, 環境が1割, そして意図的行動が4割.

幸せの50%の遺伝的なネガティビティバイアスをリワイヤメントで叩く. 幸せの4割を良い習慣を身につけることで叩く. そして残りの一割, しかしこれがみんなが幸せだと思っている金や女や仕事はこれが大したことではないと諦める.

これで幸せになれる.

講義内容の要約

仕事/金/モノ/愛/見た目/学歴は統計的には幸福感を高めない

講義のなかで何度も強調される幸せについての認知の誤り(misconceptions).

  • Good Job: よい仕事
  • Lots of Money: たくさんのお金
  • Awesome Stuff: かっこいいモノ
  • True Love: 真実の愛
  • The Perfect Body: 美しい身体
  • The Perfect Grades: よい成績, 学歴.

これらが幸福に対した影響を示さないことを科学的に論文を引用しながら一つずつ論破していく. ここでいう科学的というのは, 行動主義心理学における統計的なアプローチ.

社会的比較(social comparison)でreference pointがバグる

仕事/金/モノ/愛/見た目/学歴のようなものを追い求めることは, 進むなキケン!の看板が立っているのに突っ切って走り続けるようなもの. その先に幸福はない.

そしてそれはなぜかということについて, reference pointという概念が紹介される (日本語訳は不明). これは, 偏見のようなもの. わたしたちが心の底から強く信じている直感はだいたい間違っており(これが絶対に必要だ!), それは他人との比較によって幸せの基準値が大きく歪んでしまう.

さらには, 私達の心は物事になれる. ポジティブな刺激や幸せにも慣れてしまう(暗闇で目がなれるように). そうすると幸せのreference pointが上がってしまう.

そして, reference pointをバグらせる害悪のように紹介されるのは, social comparisonという別の重要概念, これは社会的比較と訳すのかな?つまり他人との比較が, 自分の幸せの基準値をバグらせるのだ.

面白い話が, 頑張ってよい仕事や給料の高い仕事につくよりも今すぐSNSをゴミ箱に放り込んだほうが科学的には幸せになれる.

幸せの方程式: 幸せ = 遺伝(50%) + 環境(10%) + 意図的行動(40%)

さらに, sonja lyubomirskyさん(ソニア・リュボミアスキー, ポジティブ心理学教授)の幸せの方程式を紹介.

幸せ(Happiness)= 遺伝子による設定値(Genetic Setpoint) + 環境(Life circumstances)+ 意図的行動(Acitions/Thoughts)

幸せを遺伝子と環境と意図的行動の3つからなるとした上で, それぞれの貢献度を以下のように結論づけた.

  • 遺伝子: 50%
  • 環境: 10%
  • 意図的行動: 40%

ここで衝撃的な事実は, けっこう遺伝によって幸せの半分は決定してしまう…ここでいう遺伝とは, 扁桃体大きさのようなもの. 例えば, コップに水が半分くらい入っているときに, 半分も入っていると感じるか, 半分しか入っていないと感じるか. つまり, 身長とか骨格のように, 遺伝によって幸せの半分が決定してしまうという残酷な事実!!

しかし, みんなが追い求めるモノ/金/仕事のような要因はなんと10%くらいしか幸せに貢献しないという面白い事実!

それでは, 残りの40%はなにか. それは, 意図的行動(intentional, effortful activities). これが力強く幸福に貢献する. 言い換えれば, 幸せの40%は自分の意志でコントロール可能. これは朗報だ!

なので, 戦略としてはこの40%をなんとかすることだ.

リワイヤメントで認知の歪みを取り除く

そして, こういう認知の歪みへ対応するための知恵を講義の中では知識として教えてくれる. この歪みを取り除くことをrewirementという表現をしている.

しかし, これは一般的にはリアプレイザルの言葉が有名かな. 物事を別の視点から再評価することで認知を変える方法.

このリワイヤメントを日常的にトレーニングしてあらゆる場面で適応していく. これが重要なのは, 幸せの半分は遺伝的な物事をポジティブに捉えるかネガティブに捉えるかということで決まってしまうものであり, そしてその認知を変換することはトレーニングによって改善することができるということだ.

つまり, 幸せの50%をリワイヤメントで叩くという戦略.

快楽適応への打ち手としてのモノより経験への戦略的投資

講義の後半では, 狂ったreference pointを元に戻すため戦略が紹介される. これらはそれぞれ論文が紹介されつつ, これをしたらこういう効果があった的な紹介がされる.

ここでの重要概念は, Hedonoc Adaptation. 訳が合っているかわからないが快楽適応.

まず, 快楽に慣れてしまう, これは人間なら仕方がないんだ. 特にモノには快楽適応の原則が働く. 幸せは価値を超えて過剰に釣り上がり, 手に入れると時間とともに薄れていく. まずそれを手に入れても思っていたほどに幸せにはなれない. なぜならば, それは常にそこにあるものだから. そこにあるものは飽きてしまう.

快楽適応のための戦略とは, 経験に投資すること. 経験とは, 自分に幸福をもたらすようなこと. さらにものよりも, どこかに行くような体験(旅行やコンサート, 外食など). これの特徴は, ずっとそこにあるものではなく, さらにそれを手に入れる前から幸福になれる. 適用するひまがない.

それでもモノが素晴らしくみえるならば, わたしたちの直感は大抵の場合錯覚で歪んでいて, 間違っていることを思い出す.

快楽適応への打ち手としての味わい戦略(セイバリング)

続いて大事なのは, セイバリング(Savoring)という概念. これは日本語では味わいと訳すようだが, ポジティブ心理学の文脈でつかわれるようだ.

セイバリングとは, 過去や現在のポジティブな出来事や気持ちを, しっかり味わうこと. 心地よい体験や幸福感をもたらす気持ちに意識を向け, その体験をじっくり味わうことで, 脳におけるポジティブな感情を感じる神経回路が強化される.

そして味わい戦略の具体例として, 素晴らしい瞬間を写真でとってあとで味わったり, 感謝の心をもつことで日常を味わい深いものにするなどのテクニックが紹介される. とくに感謝のちからは強い.

意図的行動への投資で幸せになれる

幸せの方程式により, 意図的行動が幸福感をもたらす. そうすると, そのような活動を日常の習慣に組み込むことで幸せの40%を戦略的に取ることができるのだ.

  • Kindness: 優しさ
  • social connection: 社会的つながり
  • time affluence: 時間的余裕
  • mind control(meditation): 瞑想
  • healty practice: 食事, 睡眠, 運動

なんと, 誰でもできる当たり前のことじゃないか!

感想

20世紀的幸福の神話とニーチェの神は死んだと超人思想

ニーチェは叫んだ, 神は死んだ! 力への意志を志向し, 超人になれ!

キリスト教的な世界観において, これはどういう意味だったか? キリスト教的な道徳は自分で決めたものではなく誰かがかってに決めたものでありそれは真実ではない, 自分にとって価値あることを決めてそれを目指すことで超人を目指せ, ということ(と解釈している).

さて, キリスト教的な世界観が終わり, その後の我々は資本主義に突入した. 金を稼ぐことはキリスト教では悪いことであったが, 労働して金を稼ぎ, よいものを買って豊かになれる… さらには社会が交換可能な歯車としての人材で動けばそれは資本主義に好都合であり, いい大学にはいりいい仕事につくとその官僚性ヒエラルキーの上位に行くことがなった, それも幸せになれるとなった.

  • 仕事
  • 金
  • モノ
  • 愛
  • 見た目
  • 学業成績

それに対して, この講義ではそのような20世紀的幸福の神話が心理学的に幸福に導くことはないということをたくさんの論文を引用しながら次々と論破していった.

いわゆる幸せとは, 資本主義の洗脳ではなかったか? それを盲目的に信じることは, キリスト教を盲目的に信じることのようにニーチェには見えないだろうか? 講義の言葉でいえば, reference pointが狂いまくっているのではないか?

ニーチェは言った, 超人に成れ! これは金や地位を追い求めるのではなく, 自分にとって価値あるものを求めろということを言っているのであり, 現代においても力強い.

強みの審美眼を鍛えシュークリームの意志により超人になる

VIA強みテストという自分の強みの心理テストを半年前に受けた. わたしの最も上位に来た能力, それは審美眼, 言い換えれば感受性.

そう, 味わう能力というのはわたしの強みだった. そのせいで, どちらかというとネガティブなものにばかり反応して不幸な人生になっている気がする. しかたがない, これは強みであり, 高性能扁桃体センサーがあるのだ. わたしはうつを否定しないし, リアプレイザルによって力に変えたい.

今を生きるという偉人の名言にとても違和感を感じる. 岡本太郎とか. それはひとえに, 今を生きるということに, 努力の匂いがするからだ. そうではない, 今を生きるということは今を味わうことだ. それはひとつのシュークリームをあっという間に食べるのではなく, 味わいながらゆっくりと食べるように.

わたしは3年前, 体重が106キロあった. シュークリームをやけ食いすることでそこまで大きくなった. そこからダイエットによって59キロまで減ってしまった, もうすぐわたしの存在の半分は消えてなくなる.

しかし, そんなデブになった原因となったシュークリームをわたしは否定しない. それ自体は素晴らしいものだ, こんなにひとくちで幸福を感じるものはないんだ. コンビニの150円のシュークリームでしあわせになれる. わたしはシュークリームを肯定する.

わたしに幸福をもたらすもの, それは金ではなくシュークリームだ. わたしはシュークリームを通じて己の審美眼を鍛え上げ, シュークリームにより幸せになる道を決意する. もちろん, お金とシュークリームだとお金のほうが幸せになれるかもしれないが, その直感が間違っているかもしれないので, トレーニングによってどうなるか確かめる. だいたいにおいて, わたしの直感はバグっている.

わたしはシュークリームの意志により超人になる決意を固めたのだった.