前回のFuturismoブログ復活に続き,Futurismo Wikiを復活させた.

学んだ他者の知識と考えた自分の知恵を明確に分けるため

なぜFuturismo Wikiを立ち上げ直したかというと,もちろんFuturismoブログの立ち上げに影響を受けてWikiのほうも復活させたいという想いはある.しかし,もう一つの理由としては,学んだ他者の知識と考えた自分の知恵を明確に分けるためという想いもある.

最近,Zettelkasten Methodというノート術に興味を持ち,いろいろと調べているのだが,そのなかで, “自分の考えを入れるべきであり他者の考えとは明確に分けるべき"という主張に興味を持ち,実践したくなった.

どうもわたしのZettelkastenに対する第一印象はWikiの現代版のようなイメージしかなかったものの,よくよく調べてみるとこれはWikiとは反対のものであった.Wikiは他者の考えや知識を記録するものであり,Zettelkastenはその知識を自分の過去の知識や経験と結びつけて思考としたもののみを保存する.(そしてややこしいことに,一般的にRoam ReasearchやObsidianについて情報発信をしているほとんどの人はここの部分を混同している).

わたしの場合,ZettelkastenをEmacs Org-roamでローカル環境で実現しようとしている.このとき,ディレクトリ構成として他者の知識と自分の知恵をZettelkastenとWikiというディレクトリで明確にわけようとした.そして,Wikiというディレクトリを覗いたとき,もはやそれはたんなるWikiであり,もしかしたらこれを公開することによって,より他者からの知識ということを意識してノートを書けるのではと考えた.つまり,このWikiに書くものには自分の意見や考えを混ぜてはならず,他人が読んでも再利用可能な知識としてまとめ,インプットの参照元や引用を明確に記述する.他者から再利用可能ということは,ネットに公開することには知識をまとめるという点においては価値がある.自分の考察がほぼ加わっていないので自分が付加価値をつけるわけではないが.

ZettelkastenにおけるLiterature Noteという概念についても同様である. Literature Note,つまり本や動画で学んだことの勉強メモも,知識とそれについての自分の考察を分けてかいて知識はLiterature Noteへ,自分の考えは別のJournalにでも書こうと思う.すると,Literature NoteもWiki同様に公開することにはメリットがある.

とくに最近はもうエンジニアリングについての勉強をあまりしなくなってしまい,どちらかというと自己分析をしたりその書籍を読んだりしていることが多いのだが,書籍やネットの記事や動画でインプットした情報とそれを元に自分のことについて考えたことをうまくマネジメントしたいと考えていた.

まあそうはいってもまだEmacsをいじったりたまにコードは書くので,その勉強メモも書く.そしてそこには学んだ技術ノートや,用語の定義,そしてHOWTOが中心になるだろう.とくに,HOWTOは別に知識として忘れてもいいようなものなので,そのメモはZettelkastenにはいれたくない.忘れたらGoogle検索をすればいいし.しかしそのHOWTOがマニアックであればあるほど,それをまとめておくことは誰かの役に立つかもしれない.だいたいそういう知識の傾向はGitHubの複数のIssueのなかの一部でその情報を探している人は泣きながら可能な限りの情報を探していると思うので.

WikiをSphinxで構築してNetlifyで公開

ここからは具体的な実現方法について.

ノートはEmacs Org-modeで書いて残す.そして,それをWikiの形として公開したいと考えたとき,昔のノウハウを活かすならばSphinxかDokuwikiだろうと考えた.要件は,サーバレスでホスティングすることで無料で運用したいところとプレーンテキストでデータを管理したいというところ.このサーバレスという点でDokuwikiではなくてSphinxを選択した. Sphinxは生成されたHTMLをサーバに配置するだけで公開できるので,いわゆるStatic Site Generator(SSG)が扱えるような最近のサービスで運用できる,これならお金もかからない.

そしてなりより,SphinxやPythonをはじめて利用したのは今から10年前の2012年なのでなかなかエモくなった.

WikiなのにSphinxなのかよという感じだが,知識をまとめるというところでは構造化されていたほうがよいと判断した.Sphinxは魚の背骨のように知識を軸にそってまとめていく.一方Wikiは,知識の双方向の繋がりを意識して自由につなげていく.知識を構造的に整理したほうが記憶という点においてはすぐれているのでSphinxにした.自由なつながりは,そこから新たな発見があれば有効であるがそれはZettelkastenの責任領域である.Wikiの慣習として単語をやたらめったらリンクさせまくるものがあるが,わたしはWebアプリではなくOrg fileで管理する以上,管理コストが高すぎてそれはできないのでWikiでなくてもいい.

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