2025年最後のブログエントリとして、この話題をかかないわけにはいかない.

AIのコーディング力が自分を越えたんじゃないかと焦りはしめたのが、今年の3月末. そして、だいたい確信に変わったのが5月.

クロード・ソネットくんはついにぼくよりもいいコードをかけるようになってしまった | Futurismo

そこから8月くらいまでは、やるじゃないかと感心しながら人間様が微調整していた. そして、この半年位、完全にコードを書かなくなってしまったのだった.

そもそもこのブログはプログラミングの勉強記録を残す日記としてスタートしたんだが、ここまでなにもコードをかかないんじゃあ、ブログ終了の危機だ. ミドルエイジクライシスが到来した.

はやくコードをかけることがいいことだよ

AIコーディングの楽しさは、早くコードがかけること. Fast is fun. はやくかけることが楽しいこと. 1

以前から、Fitbitなどのライフログを分析することはずっとやりたいことだったが、どうしても手間暇かかってしまうので定期的に挑戦しては放置して挫折していた. しかし、2025年になってその課題を突破した感がある. ライフログの解析は簡単にできてしまう. そして、それに対してわたしはコードをまったくかいてない. 2

また、最近わたしはMuse脳波計を購入してから、毎日の自分の瞑想脳波解析が趣味となった. わたしがやりたいことは特殊な脳波データ処理ではなく、そこからどういう発見があるかどうかであり、AIコーディングはコーディングそのものだけではなく、脳波解析という特殊スキルもショートカットで手に入れることができた.

確かにわたしはコードはかかないが、やりたいことの可能性を広げるという点で、AIコーディングはよいことだ.

デバッグは苦しみに耐える謎の禅修行だった

AIコーディングがもっと楽しいのは、デバッグの苦しみから解放されたこと. なんかうまく動かないときは、エラーログをチャット欄にコピペして「調べて!」というだけで、頭のいいAIが瞬く間に不具合を特定して修正してくれる.

こんなに簡単に、素早くバグを修正できるとなると、自分でうんたらかんたら苦労することが、もやは禅宗のような謎の修行のようでしかない.

プログラマへの憧れは日本語文章執筆能力だったのか?

来年は、もっともっとチャットするようにアプリ開発やスクリプト作成をするようになるだろう. すると、基本的には日本語の文章を書くだけになっていく. どんどんそうなっていく.

果たしてそれが、大学生のときのプログラミングへの憧れだったのだろうか?AIにたいしてわかりやすい文章でコミュニケーションする能力が大事だとすると、数学を専攻したわたしはその延長でプログラミングを志すのだろうか?それってもう文系のお仕事なのではないか?3

問題を素早くことが大事なことというハッカーマインドは洗脳、大事なことはニッチに夢中になること

いや、数学の問題を解くように、なにかの課題を解くことに楽しさの焦点をおけばいい、手段はなんでもいい、そのようにマインドセットを変えていく必要がある. How to solve it、いかにして問題を解くか. 4

いやいや、ほんとうにそうだろうか?問題を素早く解くことがよいことという、いかにもハッカーらしい思想は、そもそも洗脳でしかなく、本当にそうか?

メイド・イン・JAPANのハッカーマインドとは? - ハッカーマインド再考 | Futurismo

1年半前の問いに対するなんとなくの答えを発見したが、まだブログに書いてなかったのでここに書いておこう. けんすうさんの過去記事が参考になった.

;; http://blog.livedoor.jp/kensuu/archives/54215643.html, 「ハッカー文化」と「オタク文化」の違い、または手段の目的化によるイノベーション

ハッカー文化は目的のためなら手段を選ばない、オタク文化は手段のためなら目的を選ばない.

たとえば初音ミクですが、「いい音楽を届けたい、そのためだったらボーカルは機械でもいいじゃないか」と考えるのがアメリカ的といったら、日本では「初音ミクを使いたい。そのためだったら、どんな目的でもいい」という考えになります。

目的を邪魔するものを打倒しようとするハッカーと違って、物事を取り込んでいくというのもオタク文化かもしれません。おもしろいものならなんでも取り込んでいく、というネタ文化的な部分もあります。

問題を爆速で解決するというハッカーマインドには共感しつつも、もっと共感するのは日本的なオタク文化だった気がする. たとえば、Emacsの設定ファイルをマニアックにいじくり回すことに楽しさはあったはず.

科学に対する子供のときのワクワクを取り戻す

来年の目標をここにかく. なるべく自分の興味をソフトウェアとかITから離しつつ、科学全般に広げていく. ソフトウェアとかプログラミングに出会うまえの、もっと子供の方のモチベーションを思い出す.

科学雑誌や科学の書籍を読む

記憶では、ドラえもんのふしぎ探検シリーズが科学への興味のスタート地点だった. 5 ずっとこの書籍シリーズを読んでいた. または、図鑑とかも好きで、ずっと眺めていた.

別の影響元としては、やはりバックトゥザフューチャーだろう. わたしの世代だと、理系を志すひとはみんな影響を受けている. わたしだけではない. 物理や発明への憧れはここ.

また中高でずっと読んでいたのは科学雑誌ニュートンだ. 最近、再び図書館でニュートンや日経サイエンスを借りて読むようにしている. すると、かつてのワクワクが蘇ってくる気がする. この習慣を継続したい. またその延長で、図書館で借りる書籍も人文系よりも科学系を優先したい.

高校の物理化学生物地学の勉強を基礎からやり直す

そして、大学受験のときの、物理化学生物地学の勉強もやはり、科学に対する憧れを膨らませるものだったはず. わたしは高2で生物化学で受験勉強をはじめ、高3で物理にハマって物理化学に変更し、さらに浪人生のときは同じことを2度勉強したくないという効率性よりも楽しさを重視して物理地学を専攻した. つまり、全部やった. 悲しいかな、今はかなりの部分を忘れてしまった. これをキャッチアップしたい.

受験勉強というわけではなく、なにか初歩的な書籍を再読して知識を再確認する程度でいい. 基礎的なことをやり直したい.

バイオハックや発明にも挑戦したい、ハックの枠をITから広げる

別の影響元としては、夏休みの自由研究だろう. 好きなことを1ヶ月かけて研究する、植物を集めたり電子工作をしたり. 受験色が強くなる前の、小学生中学生の科学は楽しかったはず.

よくよく考えれば、今は好きに自由研究をしていいはずなんだ. なぜ自分はソフトウェアに興味の幅を限定しているんだろうか?謎の化学実験もやりたい放題なはず. BTTFのドクのようなマッドな発明研究だってできるんだ. 原子力はさすがに無理だが.

ハッカー的な話題にはずっと憧れがあるが、そもそもなぜITにわたしは限定していたんだろうか?今まではなんとなくITをやってきたが、2025年がターニングポイント. もうITはそこまで価値がいことをメタ認知した. ITから始まったハッカー的なワクワク感を、2026にはそれ以外にも広げたい. これが目標だ.


  1. Cursorチームのインタビューでこのことがとても心に残っている. Cursor Team: Future of Programming with AI | Lex Fridman Podcast #447 - YouTube, t2:30あたり. ↩︎

  2. チョコザップではじめるデータ駆動筋肉開発入門 | Futurismo ↩︎

  3. How to Solve it With Code course now available – fast.ai, およびその引用先動画である AI Coding Sucks - YouTube から影響をうけた. ↩︎

  4. いかにして問題をとくか | G.ポリア, 柿内賢信 | 数学 | Kindleストア | Amazon ↩︎

  5. ドラえもんふしぎ探検シリーズ | 書籍 | 小学館 ↩︎