前回の続きです.

Claude codeで MuseのEEGデータをバイブ脳波分析してみた | Futurismo

Muse S Athena1の脳波センサーではなく、光センサー(PPG/fNIRS)を利用して、生体データを取得して分析してみた. 今回もAIが分析しました.

Mind MonitorのSpecを読み解いてSensorデータを解釈

生体データ分析としては、Museデバイスのデータを取り出すためのMind Monitorからcsvデータを取得して、それを解析する.

まず、Muse S Athenaの公式ページによると、光センサーは2つある2.

  • PPG Sensor: Triple wavelength: IR (850nm), Near-IR (730nm), Red (660nm), 64 Hz sample rate, 20-bit resolution (Upgraded)
  • fNIRS Sensor: 5-optode bilateral frontal cortex hemodynamics, 64 Hz sample rate, 20-bit resolution (New)

素人なのでなんのこっちゃという感じだったが、ここからMuseのデータを取り出すためのMind Monitorの仕様をChatGPTと相談しながら見比べるのが一苦労だった. 以下、間違っているかもしれないが理解した内容.

https://mind-monitor.com/FAQ.php#csvspec


csvのカラムの以下をつかう.

  • Optics+チャネル数
  • Heart_Rate

ドキュメントにはPPG_という項目があるものの、実際に取得するとPPGはなく、Heart_Rateになっている.

光学センサー(Optical Sensor)

fNIRSとPPGのふたつのセンサーとOpticsの対応が少し理解に時間がかかった. OpticsというのはおそらくMind Monitorのカラム名だが、光学センサー(Optical sensors)が由来.

光学センサー=LED光源+フォトダイオード受光器. 仕組みとして、LEDから光を出して、それをフォトダイオードで受信する.

LED光源

LEDの光源は、複数の異なる波長で発射する.

  • IR (850nm), 赤外
  • Near-IR (730nm), 近赤外
  • Red (660nm), 赤色光
  • Ambient: 環境光

フォトダイオード受光器

それを受信するチャネルが、バンドには複数ある. Mind Monitorの設定では4ch/8ch/16chと選択できる. defaultでは4chのようだが、これを8ch/16chに設定変更で増やすと、バッテリー消費が上がる.

Optics Channelsの仕様も、Mind MonitorのFAQに書いてある. 4ch = 左右の「Inner(内側)センサー」だけを使用した出力. 具体的には Left Inner/Right Inner の2つのセンサー信号x2(左右)

  • 4ch -> 内側センサーのみ(低消費電力モード)
  • 8ch -> 外側+内側(outer+inner)
    • 皮質由来(長距離)と表層(短距離)を分けて扱える
  • 16ch -> 全オプトード+複数波長の組み合わせ
    • PPGでつかわれる赤色光(660nm)は16chにしないとRAW Dataはとれない

fNIRS Sensor/PPG Sensor

2種類のセンサーというのが、光の出力/光の受信の組み合わせなのでややこしい.

なおcsvだと16ch設定にしないと、赤色光がchannel受信データとして表示されないようで、その代わりにHeart_Rateと処理されたデータがある.

ようは、Opticsの4ch=省電力モードでは、fNIRSアプローチ(IR/NIRの2つの異なる波長による分析手法), のこりはPPGの生データではなく処理されたHeart_RateをつかえばfNIRS/PPGの二つのデータ取得が出来る.

たぶん、csvではなくosc方式のリアルタイムデータ受信ならば生データにアクセスできる(未検証). とりあえず、今回の分析でも4chで取得したOptics と Heart rate解析対象データとして利用する.

生体データ分析

fNIRS分析

Muse S AthenaのセールスポイントがfNIRSセンサーによるHbO/HbR分析. これによって、脳トレの効果が可視化できる?わたしはEEG目的だったので、未だにこの機能がよいのかどうかわからない.

  • HbO (Oxygenated Hemoglobin) - 酸素化ヘモグロビン, Increases when your brain is working harder, delivering more energy for sustained mental effort.
  • HbR (Deoxygenated Hemoglobin) - 脱酸素化ヘモグロビン, Decreases as your brain efficiently uses oxygen to maintain focus and endurance.

Optics 4chで取得できるデータは, 2波長 × 左右 の光学データ.

  • Left Inner / Right Inner
  • 730nm(NIR)/850nm(IR)

これから、NIRとIRの吸収特性の違いを利用して、修正Beer–Lambert則(MBLL)という計算式をつかって算出する(AIが.

When the red line rises and the blue line falls, it means your brain is successfully increasing effort and optimizing cognitive performance3

集中瞑想をするといつも決まってhbOが増えてHbRが減る.

心拍数解析

PPG解析はcsvではできないことが難しいことがわかったので、ここではHeart Rateを分析してみた(AIが.

心拍変動/HRV

心拍変動を推定してみたのだが、どちらも生PPGからの解析ではないため、正しいかは怪しい4.

Mind Monitor の heart_rate は **PPGの単純なピーク間隔検出(IR−Ambientのピークtoピーク)で算出される“処理済み”値です。拍動ごとの正確な拍時刻列(IBI)**は得られません。HRV 指標(RMSSD/SDNN/LF/HFなど)は IBIが必須です。

呼吸数

呼吸性洞性不整脈からそれっぽく推定(RSA: Respiratory Sinus Arrhythmia). RSAは、呼吸に同期して心拍間隔が変動する現象.

  • 吸気時:迷走神経の抑制 → 心拍数上昇(IBI短縮)
  • 呼気時:迷走神経の働き強まる → 心拍数低下(IBI延長)

わたしのやりたいことは、主に集中瞑想によって呼吸数が少なくなることを検証したいことだった5. ただ、このデータからだとあまり信用できるか怪しい.


  1. Amazon.co.jp: Muse S Athena: 脳感知ヘッドバンド - 瞑想の追跡とモニタリングのためのニューロフィードバックデバイス ↩︎

  2. https://choosemuse.com/products/muse-s-athena, Spec書いてある. ↩︎

  3. Muse - The Brain Sensing Headband, fNIRSの詳細. ↩︎

  4. https://mind-monitor.com/forums0/viewtopic.php?t=2026, 算出詳細がforumに言及されてる. ↩︎

  5. 世界一分かり易くて、科学的な、瞑想の最短での深めかた 3|三枝英彦, 瞑想に熟達すればするほどに呼吸の数が減るという仮説. これを検証したい. ↩︎