はじめに
確定申告のための仕訳の記入とか領収書の整理とか、人間性を否定する底なしに面倒くさい税務作業こそAIをフル活用して自動化して、人間はクリエイティブな作業へと解放されるべきだ!と数年ずっと思いながら、死んだイワシの目で帳簿づけをしてきた.
2026年3月に、マネーフォワードがついに、AIからサービスを操作できるAPI/MCPを解放するというニュースをきいた1. 待ち望んだ神対応だ、ついに来た!と思った.
とりあえずお試しで、Gmailに添付されている領収書をダウンロードしてMFクラウドに添付するという、一連の面倒くさい作業が自動化できるか検証してみる!
やりたいこと
サブスク系のサービスを使っていると、毎月メールで請求書 PDF が届く. これを手作業でこなすと
- Gmailを開いて該当メールを探す
- 領収書PDFをダウンロード
- ファイル名を命名規約に沿ってリネーム
- 該当年度・ベンダーのフォルダに移動
- Gmailをアーカイブ
- MFクラウドのカード連携機能で自動生成された未仕訳データを登録
- 登録した仕訳データに領収書をアップロードして証憑として添付
という手順になる. 1ベンダーあたり数分. 月末にまとめてやろうとするとそれだけでイワシの目になる. これを自動化したい.
実現方法検討
いつもはClaudeに課金しているので、Claudeを前提に検討した.
とりあえず 2つのスキルをつくる.
- Gmail から領収書をダウンロード
- MFクラウドに証憑を添付
Claude Codeか Claude Coworkか
まず、Claude CodeかClaude Coworkかで悩んだが、ここは使い慣れているClaude Codeを選択した. おそらく、一般向けには Claude Coworkがいいとは思うものの、わたしがClaude Coworkをほとんどつかったことがなかった.
MCPかAPIか
MFクラウドでは、MCPとAPIの両方が公開されたので、使い分けを考察した.
証憑(PDF)アップロード系のツールは MCP には現状無い. なので証憑添付は API 直叩きで実装した. ただ、以前は別の人の記事だとMCPでもできたようだし、わたしの探し方の問題かも.
MFクラウド会計には公式の MCPサーバー mfc_ca があって、仕訳・取引・マスタ・レポートの参照や登録ができる. ふだんの「4月の地代家賃どうなってる?」みたいなアドホック分析は MCP で会話的に Claude に聞くのが快適だ.
逆に、決まりきったアルゴリズム的な作業はAPIとスクリプト. スキルはある程度判断の自動化も含む場合.
スキル1: /receipt-import — Gmail から領収書を取り込む
ひとつめのスキルは、Gmail から請求書PDFをダウンロードして、命名規約に沿ってリポジトリに配置するもの.
中でやっていることは、
- Gmail を
subject:検索でフィルタしてメッセージ一覧を取得 - 既にリポジトリに配置済みのものはスキップ
- 新規ぶんを
gmail_download_attachments.pyでDL - 件名・本文から「支払日」と「請求書番号」を抽出
<YYYY>/receipts/<vendor>/<YYYYMMDD>_<id>_invoice.pdfにリネームして配置- Gmail をアーカイブ
- 結果サマリを表示
Gmail操作には google-workspace MCP を使う
Gmail を Claude から操作する手段はいくつかあるが、今回は taylorwilsdon/google_workspace_mcp を使った. Gmail だけでなく Calendar / Drive / Docs / Sheets / Slides もまとめて触れるオールインワン型の MCP サーバーで、OAuth 認可も一度通せば全サービスで使い回せる.
メッセージ検索 (query_gmail_emails) や本文取得 (gmail_get_message_details) は MCP 経由で Claude が直接叩く. 一方で、添付PDFのダウンロードと「アーカイブ」操作は MCP に直接対応するツールが無い(あるいは挙動が好みでない)ので、自前のラッパースクリプトを用意した.
スキル2: /voucher-attach — MFクラウドに証憑を添付
ふたつめのスキルは、配置したPDFをMFクラウド会計の仕訳に証憑として API 経由でアップロードするもの.
このあたりはまだ手探りで改善しているのだが、webui上の番号やタイトルを指定して、「これにこの月のPDFを添付して!」という雑な指定でもスキルだといい感じに解釈して作業してくれる. 一括添付もできる. 決まりきった作業ならばスクリプトでもできるが、スキルだとこういう雑な指示でいけるのがいい.
API実装はyamlをClaude Codeに読ませるだけ
API仕様について. 楽だったのは、yamlでも仕様をダウンロードできるので、それをClaude Codeに読ませるだけでいい感じにスクリプト実装してくれる. ただ、ドキュメントで不明確なところは、実際に試行錯誤しながら仕様を探る必要があった.
おわりに
できたこと
ある月次サブスクのベンダー1件について試したところ、5ヶ月ぶん(Invoice 5枚 + Receipt 5枚 = 10ファイル)が一気にリポジトリに配置され、対応する仕訳に証憑が添付されるところまで通った.
人間がやることは、
/receipt-import <vendor>と打つ- 配置結果を確認して 承認する
/voucher-attach --vendor <vendor>と打つ- dry-run の計画を確認して
--applyを承認する
これだけ. 簡単なお仕事. イワシの目は赤ちゃんの輝きを取り戻した👶
自動化とその手間のトレードオフは去年からゲームチェンジした
このメールからPDFダウンロードしてアップロードだけで3時間かかっている. この作業をスクリプトで自動化するのと、自動化しないで人力で頑張るのとどちらがいいのかということは、よく悩んできた.
ただそれも、去年あたりからClaude Codeでゲームチェンジした気がする. ちょっとくらいの自動化ならば、ちょっと頑張ればできる. 今回は3時間だが、横展開すればほかの作業も効率化できるはず.
未来の確定申告の完全自動化を垣間見た
今回やったことは、ひとつのワークフローの切り出しだが、面倒な税務作業はこの勢いでどんどん自動化できるだろう. 夢に見たことが、たぶん数年のうちに達成される. これは最高にワクワクする感動だった.
未来は確定申告はボタンをポチるだけで終わりなのか?税理士という仕事はなくなり、税務アドバイザーみたいな一部の仕事として残るのか?
3ヶ月前の2月のAI解説動画で2, 性能!=便利さではないという説明の例として確定申告があげられていたことを思い出した. 情報が電子で一ヶ所にあればAIは確定申告はできるが、現実はそうならないのは、既存の仕組みがおいつかないという話があった.
しかし、3月のMFクラウドやFreeeのAPI/MCP公開によって、なにか新しいトビラが開いた気がした. たぶんあとは、仕組みを整えていく作業をひたすら整えて便利にしていく作業となるのだろうか.