はじめに:
心拍センサーというHRVを取得するおもちゃで遊ぶことにした
昨年から Museを購入した1ことで脳波ばっかり計測して瞑想しているが、脳波解析とは別の切り口として心拍変動(HRV)解析というのがあることに気づいた. そして、心拍変動解析データの取得には心拍センサーがよいと調べた.
すると、うちの押入れには心拍センサーがダンボールの奥底に眠っていることを記憶から思い出し、押入れのダンボールを引っ掻き回して心拍センサーを手に入れた. 2
Wahoo Tickerの第一世代という6年くらい前?のものだが、電池を入れたら動作したので感動した. 新しいおもちゃを手に入れた!これはハックしよう.
HRVを高めてメンタルを鍛えたいというヘンタイ欲望をもっているわけです
豆腐メンタルとはわたしのことなので、前々からこころを鍛えるトピックには関心があり、心拍変動も気になっていた. HRVと心拍計について直接調べ始めたのは、パレオさんのブログ記事を読んだから.
ストレスに強くなりたきゃ「ポラールH10」+「EliteHRV」が最適説 | パレオな男
わたくし、昔から「心拍変動を鍛えたい!」という特殊な欲望を持っているわけです。
わたくしも、ヘンタイ欲望を持っています. Elite HRV3や心拍変動トレーニングを調べていくと、共鳴周波数呼吸法という、なんともスピったカッコいい技を見つけたので、これを深堀りすることにした。4
共鳴周波数とは何か?
呼吸と心拍の共鳴現象
心臓血管系には固有の共鳴周波数があり、その周波数で呼吸すると、呼吸と心拍が同期してHRVが最大化されます5。
一般的には 0.08-0.12 Hz(5-7 breaths/min)の範囲ですが、個人差が大きく、4.5-7.0 breaths/min の幅があります。
HRV指標との関係
共鳴周波数では、特に**LF Power** (Low Frequency Power, 0.04-0.15 Hz) が最大化されます。これは圧受容器反射の共鳴によるもので、HRVバイオフィードバックの重要な指標となります.
ブランコの原理でHRVを大きくしていくという魔術
個人的にとても面白いと思うのは、これがブランコの原理で勢いをつけるのと同じということ.
- 吐くと5秒遅れで血圧が上がるので血圧上昇リズムにのって息を吸うと、より興奮.
- 吸うと5秒遅れで血圧が下がるので血圧下降リズムにのって息を吐くと、よりリラックス.
この血圧が呼吸に5秒遅れるという生理現象をつかってより緊張とよりリラックスを通常時よりも加速させる呼吸法. これは魔法みたいだ.
測定方法: 簡易版プロトコルを実装
この記事6を参考に、そのリンク先の論文7をClaude codeに食わせて実験をした. わたしはAI様の指示に従って呼吸をするだけという謎の関係.
測定プロトコルの設計
共鳴周波数の測定は、複数の呼吸レートでHRVを測定し、LF Powerが最大となるレートを見つける方法で行います。
今回は、忙しい日常でも実施できるよう、簡易版プロトコル(3分×6回、約25分)を設計しました:
| 測定回数 | 呼吸レート | 吸気時間 | 呼気時間 | 測定時間 |
|---|---|---|---|---|
| 6回 | 3.5-6.0 bpm | 4.0-6.9 sec | 6.0-10.3 sec | 各3分 |
測定順序効果の対策
重要なのは、測定順序による影響(測定が進むにつれてリラックスしてHRVが上昇する)を避けるため、呼吸レートをランダム化したことです。
私の測定順序は以下のようになりました:
Trial 1: 5.0 bpm → Trial 2: 3.5 bpm → Trial 3: 6.0 bpm
Trial 4: 4.5 bpm → Trial 5: 5.5 bpm → Trial 6: 4.0 bpm
使用ツール
- Elite HRV アプリ: RR間隔の記録と呼吸ペーシング
- Python分析スクリプト: HRV指標の計算と可視化
- scipy: パワースペクトル密度の計算
- matplotlib: 結果の可視化
測定結果: 4.0 bpm が私の共鳴周波数
全トライアルの結果
測定の結果、以下のデータが得られました:
| 呼吸レート | LF Power | RMSSD | HR Max-Min |
|---|---|---|---|
| 3.5 bpm | 1796.56 ms² | 23.46 ms | 18.72 bpm |
| 4.0 bpm | 2042.63 ms² | 24.03 ms | 18.97 bpm |
| 4.5 bpm | 1130.52 ms² | 23.48 ms | 13.53 bpm |
| 5.0 bpm | 1098.53 ms² | 23.44 ms | 12.28 bpm |
| 5.5 bpm | 899.46 ms² | 23.30 ms | 14.36 bpm |
| 6.0 bpm | 797.33 ms² | 21.81 ms | 10.24 bpm |
最適な共鳴周波数
暫定的な共鳴周波数: 4.0 breaths/min (6秒吸気、9秒呼気)
LF Powerが最も高く、RMSSDやHR Max-Minも最大値を示しました。これが私の心臓血管系の共鳴周波数だと考えられます。
測定順序効果の検証
測定順序とLF Powerの相関係数は 0.250 で、測定順序効果は小さいことが確認できました(相関係数の絶対値 < 0.5)。
考察
- 実験ではランダム化が大事!はじめのトライアルは失敗して別の日にやり直した.
- 普段瞑想をしていると、大体15秒くらいで呼吸することが多い. 今回の測定で15秒周期になったのは偶然てのか?それとも慣れなのか?
おわりに
Elite HRVをつかったバイオフィードバックを習慣化したい
HRVバイオフィードバックを習慣化したい. Elite HRVは 朝すぐにHRVを計測することを推奨している. なぜならばHRVはいろんな活動にによって変動するので、毎日同じ条件で揃えることが重要.
Fitbitやその他ウェアラブルデバイスも睡眠中のHRVを推定する機能は実装されいてるのだが、アルゴリズムが非公開名ところが、どうも気にくわない.
海外のYoutube動画をみると、HRVトレーニングやってみた動画がちらほらある. 誇張かもしれないが、HRVは2倍になりましたと. Elite HRVだと、HRVの統計分布と自分の位置が表示される. わたしはだいたい平均的なので、とても伸びしろはある. AIに相談したら、2倍というのは難しいが、だいたい1日20分のトレーニングを半年で HRVは30%増加は十分ありえることという.
メンタルを鍛えるならば瞑想よりも呼吸術か
わたしは瞑想もしているが、半年で30%という成果は、瞑想よりもコスパがいいのでは?
いやむしろ、こころを鍛える、ストレスに強くなる、レジリエンスを高めるという観点では、瞑想よりも呼吸法なのでは?というのが、瞑想6年やっても脳の構造変化を微塵も感じない凡才の感想. どうも認知を相手にするより身体のほうがイージーな気がしてならない.
瞑想、とくにマインドフルネス瞑想法で鍛えられるのは、気づきの力. それに対してHRVバイオフィードバックで鍛えられるのは、副交感神経の力.
自転車を運転していて、車にクラクションをならされたり煽られたとき、ドライバーに対するイライラの思考が沸いたとき、それに対して気づきを入れるのが瞑想スキル. 気づきが入ったあとで心臓のドキドキを速やかに静めるのがHRVのスキル. どちらも苦しみの1の矢を防ぐことはできないが、2の矢、3の矢を抑え込むことはできる. 8
という仮説を元に、今まで瞑想に費やしていた時間を呼吸術にも分配しようと思う. しかし、これは仏教ではなくヨーガだな. ヨガ教室にでも通おうか.
AIをつかってやりたいことが素早くできることはとても楽しい、次はHRV解析だ!
今回、共鳴周波数の測定を通じて「自分にとって最適な呼吸法」を科学的に調査した.
これぞまさに**Personal Science**の実践. 一般論ではなく、自分の身体データから自分に最適な方法を見つける。こういうのがやりたかったんだ.
正直、去年でClaude codeが人間のプログラミング能力を上回ってしまい、AIに対してネガティブな印象を抱いていたが、脳波解析をAIをつかってやりだしたあたりから、AIを使いこなして新しいアイデアを試すことがとても楽しい. アイデアを思いついて検証するサイクルがとても早い.
また、大事なことはこれが個人データの解析ということ. 自分についてのことなので、他人との比較という観点がなく、ここがまたテーマとしてよいとおもう. 誰だって自分に対する興味はとてもある. 自分についての知識は他人は興味がないだろう. このブログも脳波解析の記事はほぼアクセスはない. でも、それでも楽しい.
このパーソナルサイエンスの楽しさの波に乗っていこう. 脳波解析の次なる山はHRV解析だ. HRV解析を調べると、脳波解析と同じくらい奥の深みを感じた. 脳波計は脳を調べるが、心拍計は身体を調べる. 脳と身体はつながっている. この関係を深堀りしたい.
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武蔵中原UberEats加盟店の分析 | Futurismo. むかしウーバーイーツ配達員をやっていたとき、ネットで知り合ったロードバイクガチのおじさんに武蔵中原まできてもらい、中華料理をおごってもらい心拍センサーをもらった. 今振り返ればなんとありがたいことだろう、なんでご飯おごってもらったのかすっかり忘れてしまい顔すら忘れてしまったのだが、感謝(失礼). ↩︎
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地球共鳴波動覚醒か?脳波のSMRとハーモニクスを調べてみた! | Futurismo, そういえば前回も脳波についての謎の必殺技的な共鳴波動術を調べていました. ↩︎
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Lehrer & Gevirtz (2014). Heart rate variability biofeedback: how and why does it work? ↩︎
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Frontiers | A Practical Guide to Resonance Frequency Assessment for Heart Rate Variability Biofeedback ↩︎
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ただ一方で、気づこう気づこうと自分が努力しても気づきは発生しない. 思考が発生したときに自分でなんとかなるものではないが、どうもリラックスすればするほどに気づきの発動スピードがあがる経験則がある. リラックスする力=副交感神経の力、という点では、気づきの発動とリラックスは関連がある. ↩︎